Conference Overview 開催概要

1.大会校の挨拶

日本教育学会第85回大会は、九州大学と九州産業大学の共同開催形式とし(会場は九州産業大学)、2026年8月22日(土)はオンラインで、24日(月)、25日(火)はハイフレックス(オンラインと現地会場)で開催いたします。開催方式としては、第81回~84回大会にならい、1日目(8月22日)はオンラインにより「自由研究発表」(一般研究発表とテーマ別研究発表)と「ラウンドテーブル」を実施いたします。対面会場の九州産業大学への移動日(8月23日)をはさみ、2日目(8月24日)と3日目(8月25日)にはハイフレックスにて「課題研究」「シンポジウム」「総会」を開催いたします。

また、今大会では8月24日、25日に対面形式での「自由研究発表」を設けました。
実行委員一同、充実した大会の開催に向けて準備を進め、福岡の地でみなさまをお迎えできるのを楽しみにいたしております。 なお、今大会は九州教育学会からの後援を受けて開催いたします。

日本教育学会第85回大会実行委員会 委員長 元兼正浩(九州大学)

2.開催日

2026年8月22日(土)、24日(月)、25日(火)

3.開催方法

対面とオンラインによるハイフレックス方式

<対面会場> 九州産業大学キャンパス

〒813-0004 福岡市東区松香台2-3-1
JR鹿児島本線「九産大前駅」から、キャンパスまで徒歩1分
会場(1号館2階)までは徒歩10分

※詳細は、九州産業大学Webページおよび下記「Yahooマップ」をご覧ください。

<オンライン会場> 日本教育学会第85回オンライン大会会場(大会が近くなりましたらご案内いたします)

4.日程

【1日目 8月22日(土)】オンライン(リアルタイム双方向型)
午前自由研究発表9:00~12:00
午後自由研究発表13:00~15:30
ラウンドテーブル16:00~18:00
社員総会18:15~20:15
(8月23日(日)は移動日)
【2日目 8月24日(月)】現地会場とオンライン配信の併用
午前課題研究Ⅰ9:00~12:00
自由研究発表9:00~12:00
午後総会・奨励賞授賞式13:00~14:50
シンポジウム15:15~18:15
【3日目 8月25日(火)】現地会場とオンライン配信の併用
午前課題研究Ⅱ9:00~12:00
自由研究発表9:00~12:00
午後課題研究Ⅲ13:00~16:00
自由研究発表13:00~16:00
若手交流会16:15~18:15

5.大会までのスケジュール

4月10日(金)HP公開/自由研究発表(一般研究発表・テーマ型研究発表)・ラウンドテーブルの申込開始
5月8日(金)自由研究発表・ラウンドテーブル申込の締切
7月2日(木)『大会プログラム』の公開/大会参加申込開始(大会Webページより)
『発表要旨集録』掲載原稿の受付開始
7月16日(木)『発表要旨集録』掲載原稿の提出期限
8月19日(水)大会参加申込の締切
8月20日(木)オンライン大会会場へのパスワード送付(大会参加申込者のみ)
『発表要旨集録』のオンライン会場より閲覧開始(大会参加申込者のみ)

6.大会参加費

一般会員3,500円
学生会員1,000円
臨時一般会員4,500円(税込)
臨時学生会員1,500円(税込)
後援会員(九州教育学会会員)3,500円(税込)
後援学生会員(九州教育学会会員)1,000円(税込)

7.自由研究発表(一般研究発表およびテーマ型研究発表)

(1)分科会種別と趣旨

会員による研究発表の場として、例年の大会同様、「A 一般研究発表」と「B テーマ型研究発表」を設定します。いずれについても、研究発表を希望する会員は自由に応募できます。「A 一般研究発表」では、研究領域別の分科会を編成します。「B テーマ型研究発表」では、様々な研究課題について焦点化された特定のテーマを設定し、分科会を編成します。

(2)開催予定分科会

下記の分科会の開催を予定しています。ただし、研究発表の応募状況によっては、分科会の名称変更や再編を行うことがありますので、あらかじめご承知おきください。

(オンライン形式)一般研究発表

A-1 教育理論・思想・哲学
A-2 教育史
A-3 学校制度・経営
A-4 教育行財政・教育法
A-5 比較・国際教育
A-6 教育方法・教育課程
A-7 生活指導
A-8 教科教育
A-9 発達と教育
A-10 技術・職業教育
A-11 幼児教育・保育
A-12 初等・中等教育
A-13 高等教育・中等後教育
A-14 教師教育
A-15 社会教育・生涯学習
A-16 教育心理学
A-17 カウンセリング・教育相談
A-18 特別支援教育・特別ニーズ教育
A-19 図書館・教育情報学

(オンライン形式)テーマ型研究発表

B-1 市民性教育の課題
B-2 学校のリアリティと教育改革の課題
B-3 ジェンダーと教育
B-4 教員政策
B-5 教育学の問い直し
B-6 子ども問題と教育・福祉
B-7 厄災と教育
B-8 Educational Issues from Global Perspectives
B-9 地域コミュニティと教育
B-10 教育の無償化を問う
B-11 教職員の多様なキャリア形成
B-12 学校をめぐる記憶の選別ー「場」と「人」に焦点をあててー
B-13 学校建築と教育

対面形式自由研究発表

C-1 (名称未定)
C-2 (名称未定)
C-3 (名称未定)

(3)発表申込

研究発表をご希望の方は、下記大会用特設ウェブサイトの申し込みフォームに必要事項をすべて書き込んでください。受付開始は4月10日(金)で、締切は5月8日(金)です。申込みはすべてウェブサイト上で行います。申込みいただきますと、自動的に受領確認メールがすぐに送信されます。確認メールが届かない場合は、下記メールアドレスにご連絡ください。

発表申込の詳細は、発表申込ページをご参照ください。
メールアドレス: kyushu2026@jera.jp

研究発表は、原則として、個人発表、共同発表あわせて、ひとり一本とします。ただし、個人発表をする者でも、口頭発表者(プログラムで○の付く者)にならない場合は共同発表にも申し込むことは可能です。ラウンドテーブルはこの限りではありません(ラウンドテーブルと研究発表の両方とも発表申し込みをすることは可能です)。

発表申し込みにあたっては、まず、以下の4区分からご希望をお伺いします。
 ①「オンライン形式での発表を希望」
 ②「オンライン形式での発表を希望するが、対面形式でも可能」
 ③「対面形式での発表を希望するが、対面形式が難しい場合にはオンライン形式でも可能」
 ④「対面形式を希望し、対面形式が難しい場合には発表を辞退する」

その上で「対面形式自由研究発表」の参加者決定にあたっては、とりわけ研究者としてのキャリアの浅い方にとって対面形式での発表とその後のディスカッションの意義が大きいことを重視し、大学院生の方を優先した上、希望者が3部会分の時間的上限(すべて個人発表だとすれば15名分)を超えた場合には抽選にて発表者を決定いたします。(③をお選びの場合、抽選に漏れた際には、オンライン形式の部会でご発表いただきます。同じく抽選に漏れた際、④をお選びの場合には、発表申し込みを取り消させていただきます。)

なお、①~③のいずれかを選ばれた方は、発表希望分科会を、「A 一般研究発表」と「B テーマ型研究発表」から合わせて第3希望までお選びください。「C 対面形式自由研究発表」の部会にてご発表をいただく場合には、部会編成は学会理事会および大会実行委員会にお任せください。それ以外の方は、オンライン形式の部会にてご発表をいただきますが、ご発表のテーマや応募状況によっては「A 一般研究発表」と「B テーマ型研究発表」の間で移動をお願いすることがあります。

発表日時は実行委員会で決定させていただきます。発表の日を特定してお申し込みいただくことはできませんので、あらかじめご承知おきください。対面形式での自由発表部会については本ページ下部に示しております、「14.大会校からのお知らせとお願い」の「(2)対面形式での自由研究発表部会開設のお知らせ」のお知らせもご覧ください。

(4)発表資格

研究を発表することができるのは、①本学会の会員で、5月6日以前に2025年度までの会費を納入済みの会員、または②5月1日までに2026年度の入会申込み手続きをとり、2026年度会費を前納した方、のいずれかに限ります。

(5)発表時間

個人研究発表 発表時間25分+質疑5分
共同研究発表 発表時間50分+質疑10分
*共同研究であっても口頭発表者が1名の場合の発表時間は、個人研究発表と同じです。

(6)発表要旨(『発表要旨集録』の原稿)の提出

発表を申し込んだ方は、研究発表の「原稿作成要領」(大会ウェブサイトに掲出)にしたがって発表要旨(『発表要旨集録』の原稿:PDF2頁分)をWeb登録にてご提出(アップロード)ください。分量オーバーの場合、3頁目以降は掲載されませんので、ご注意ください。提出期間は、7月2日(木)から7月16日(木)までです。締切厳守でお願いします。
*『発表要旨集録』に掲載された内容は、科学技術振興機構(JST)の研究情報データベース「J-STAGE」において公開されます。

8.ラウンドテーブル

会員の創意で自主的に企画される研究交流・意見交換の機会です。

(1)申込み方法

開催希望の方は、下記大会用特設ウェブサイトの申し込みフォームに必要事項をすべて書き込んでください。受付開始は4月10日(金)で、締切は5月8日(金)です。申込みはすべてウェブサイト上で行います。申込みいただきますと、自動的に受領確認メールがすぐに送信されます。確認メールが届かない場合は、下記メールアドレスにご連絡ください。

発表申込の詳細は、発表申込ページをご参照ください。
メールアドレス: kyushu2026@jera.jp

(2)企画者・報告者等の資格

企画者・報告者は、①本学会の会員で、5月6日以前に2025年度までの会費を納入済みの会員、または②5月1日までに2026年度の入会申込み手続きをとり、2026年度会費を前納した方、のいずれかに限ります。非会員が報告者(提案者)となることは可としますが、報告者(提案者)の半数は会員としてください。

(3)特別な要望がある場合のZoomミーティング開設について

なお、過去の事例において、大会校側ではZoomの設定が自由にできない一方、ラウンドテーブルの申し込み者からは当日になって録画の希望などが寄せられ、十分に対応ができないことがあったと聞いています。しかし、大会校側で用意する各Zoomの設定はそれ以前の自由研究発表のための設定を引き継ぐものでもあり、さらにZoomのホスト権限も、すでに契約をしている学会員または九州教育学会会員が自らのZoom権限を用いて立ち上げている場合や、株式会社ガリレオを介してスポット契約をし、事前に細部の設定が行われている場合など、様々です。
そのため、最低限のラウンドテーブルの場を提供するというシンプルなZoomミーティングルームの開設(自由研究発表と同様の設定での開設)以上の対応を希望される場合には、事前に申し込み者の側でZoomのミーティングを設定・開設していただきたく存じます。(申し込み者の側で設定・開設した場合、当日はそのURLを他の部屋と並べて記載するようにさせていただきます。本ページ下部に示しております「14.大会校からのお知らせとお願い」の「(3)ラウンドテーブルにおいて特別な要望がある場合の申込者側でのZoom開設のお願い」もご覧ください。)

(4)発表要旨(『発表要旨集録』の原稿)の提出

企画を申し込んだ方は、ラウンドテーブルの「原稿作成要領」(大会ウェブサイトに掲出)にしたがって発表要旨(『発表要旨集録』の原稿:PDF2頁分)をWeb登録にてご提出(アップロード)ください。分量オーバーの場合、3頁目以降は掲載されませんので、ご注意ください。7月2日(木)から7月16日(木)までです。締切厳守でお願いします。
*『発表要旨集録』に掲載された内容は、科学技術振興機構(JST)の研究情報データベース「J-STAGE」において公開されます。

9.課題研究

(1)課題研究Ⅰ

AI時代における教育知の社会的生成と共有に向けて―「AIを育てる」条件と可能性を探る―

企画趣旨
 

 各国で生成AIの教育利用(教育AI)が急速に進展し、授業設計、評価、個別支援など、これまで生身の教師(ヒト教師)の専門的判断に委ねられてきた実践上の判断に教育AIが関与し始めている。TALIS 2024の調査結果や諸外国の教育実践報告によれば、欧米諸国では学校への教育AIの導入が進む一方、日本では慎重な姿勢がみられつつも活用への期待も高まっている。元来、AI(大規模言語モデル)は学習されたデータに基づき知識を生成するために、自らが訓練された知識環境が属する文化を反映する。それゆえ、諸外国の大量の教育実践に基づいて生成された教育AIの応答には前提となる教育観や判断基準に一定の傾向を含みうる(国産教育AIの必要性)。
 これに対して、教育学では教育実践における判断(教育判断)を学校制度、教師と生徒の関係、評価観、学習観など社会的文脈に依拠して理解してきた。すなわち、各国における教育判断は、その国に適応する研究知見・制度規範・教師の経験という複数の要素の関係の中で成立してきた。教育AIの導入は、このような文化=文脈依存環境に、一見すると文化が捨象された環境で「育った」AIとの同居が始まることを意味する。さらに、確率論的に生成された知識分布を教育判断の根拠としてどのように位置づけるかは、単なる技術活用の問題ではなく、教育知の生成と共有の在り方に関わるきわめて本質的な教育学的問題である。とりわけ、日本の教育実践に関する記録や判断過程をどのように蓄積し、検討可能な形で共有し得るのかは、AI時代の教育の基盤を左右する論点となる。このような視点に立つとき、ヒト教師の教育判断そのものの再検討に向かうことも必要となる。
 研究課題Ⅰでは、AIの是非や効果を問うのではなく、「教育判断の根拠はどこに置かれるのか」を中心的論点とする。まず、AIの専門家からAIの開発状況について俯瞰していただく。それを受けて、認知科学の専門家は子どもたちの学習成立の観点から判断の形成過程を、教育工学・教育方法学の専門家は学校現場における教師の役割、授業の分担と設計および教育実践データの収集を、教育社会学の専門家はヒト教師と教育AIの教育判断の相違点と課題および相互啓発の可能性を、教育哲学の専門家は判断の正当化原理である学習の本質と創造性・批判的思考の育成を検討する。
 これらの議論を通じ、教育AIとの対比においてヒト教師の専門性はどのように再定義されうるのか、また日本固有の教育AIの開発という命題の下、「AIを育てる」条件やその是非を考察していきたい。テーマの新規性に対応し、各分野5名の報告に続き、パネルディスカッションで分野間の対話を通じて基礎研究と社会実装の相互関係を深める。

報告者
 松林優一郎(東北大学)
 高橋麻衣子(早稲田大学)
 藤村裕一 (鳴門教育大学)
 山本宏樹 (大東文化大学)
 鈴木 篤 (九州大学)

司会
 柏木智子(立命館大学)
 張 揚 (北海道大学)

(2)課題研究Ⅱ(国際交流委員会担当)

幼児教育における公正とは何か―教育における公正の出発点を問い直す―(What Does Equity Mean in Early Childhood Education?— Reconsidering Equity from the Foundation Starting Point of Education —)

企画趣旨
 課題研究Ⅱでは、教育における社会正義・公正性(Social Justice and Equity)という日本教育学会において継続的に議論されてきた理論的課題を、乳幼児期という教育の出発点から捉え直す。これまで日本の教育研究は主として学校教育を中心に展開されてきた一方で、生涯にわたる学びの基盤が形成される乳幼児期は、隣接領域に分節化され、教育学の中核的課題としては十分に位置づけられてこなかった。しかし近年、幼児期の教育・ケア環境や経験の差異が、その後の学習機会や発達、ウェルビーイングに長期的影響を及ぼすことが国際的に明らかになりつつある。さらに、グローバル化やテクノロジーの急速な進展、多文化化の進行などにより、幼児期の育ちを支える条件そのものも大きく変容している。こうした状況のもとで、公正とは何か? そしてそれはどこから構想されるべきか? という問いがあらためて教育学の重要課題として浮上している。本課題研究は、幼児教育を周縁的なテーマとして扱うのでも、学校教育の準備段階として位置づけるのでもなく、子どもの権利と尊厳が保障される教育の出発点として捉え直す立場から、この問いに向き合う。小児脳科学、アート教育、子どもの権利研究、教育哲学などの知見を分野横断的・国際的に接続し、乳幼児期からの教育における社会正義と公正性をめぐる理論的枠組みと今後の課題を提示することを、本課題研究の主たる目的とする。

 In this international session, we will reexamine the theoretical challenges of social justice and equity in education—a continuously debated topic in the JERA—by reframing them from the perspective of early childhood education. Japanese educational research has primarily focused on elementary and secondary school education. However, the early childhood period, when the foundation for lifelong learning is established, has been fragmented into adjacent fields. Consequently, it has not been sufficiently recognized as a core issue within education research. However, recent international research increasingly demonstrates that disparities in early childhood education, care environments, and experiences have long-term impacts on subsequent learning opportunities, development, and well-being. Furthermore, the conditions that support early childhood development are undergoing significant transformation due to globalization, rapid technological advancement, and increasing multiculturalism. Given these circumstances, questions such as “What constitutes equity in early childhood education?” and “Where should it be conceived?” have resurfaced as critical issues in educational research. This international session addresses these questions by reframing early childhood education not as a peripheral theme or a preparatory stage for upper school level, but as the foundation stage where children’s right and dignity must be guaranteed. The session’s primary objective is to connect insights from pediatric neuroscience, art education, children’s rights research, educational philosophy, and other fields in an interdisciplinary and international manner. The session aims to present a theoretical framework and address future challenges concerning social justice and equity in education from an early childhood perspective.

報告者・司会者
依頼中(Speakers and moderators are currently being invited.)

(3)課題研究Ⅲ

エビデンスの多元性に教育学の方法論はどう向き合うか―規範・定量・定性の補完性―

企画趣旨
 

 教育を定量的エビデンスに基づいて議論すべきであるとの機運が高まっている。エビデンスに基づいて教育研究が展開されることをEBE(Evidence-Based Education)と呼ぶ。そこには,教育政策と教育実践の両方が含まれ、政策の側面に焦点づけられるものがEBPM(Evidence-Based Policy Making)と呼ばれる。教育研究においてエビデンスが重視される背景には,その議論の方向性が政策関係者や現場教師による個別の定性的エピソードに基づいて為されていくのを避けるべきだという価値を前提としている。
 政策科学におけるEBPMの発想は「エビデンスに基づく医療」(Evidence-Based Medicine:EBM)に由来しているとされる。医師が自身の経験だけに基づいた治療を行えば,誤診などの医療ミスが発生することが危ぶまれる。そこで医療における臨床試験の結果データを重視し蓄積することで,その後の誤診を減らしていける。EBPMは,この発想を政策研究に応用している。
 そしてエビデンスには、因果推論のレベルによって順位付けされており、より実験的手法に近い研究方法によって導出された知見ほど“優れた”ものとされる。社会科学の研究において、それを叶える最上とされるのがランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:RCT)である。
 しかし、RCTによる知見が蓄積されれば教育が“良くなる”というエビデンスがあるわけではない。定量的エビデンスは確かに必要ではあるが、教育における規範的側面、教育現場から得られる現場知(local knowledge)も同様に重要である。
 教育研究では、「規範vs.実証」、「定量研究vs.定性研究」、「エビデンスvs.エピソード」などのような対立がしばしば見られる。しかし、政策科学や科学論の観点を踏まえれば、こうした対立軸はそれほど大きな意味をなさない。重要なのは、あくまで教育の改善に資する研究成果を得ることである。
 研究課題Ⅲでは、“正しい”エビデンスをめぐる議論するのではなく、今後の教育学の方法論について議論してみたい。報告者には、規範・定量・定性のそれぞれの観点から研究課題を報告してもらい、科学論の観点から論点を整理する。こうした作業を通じ、今後の教育学における方法論について理解を深めたい。

報告者
 杉田浩崇(広島大学)
 神林寿幸(明星大学)
 栗原和樹(専修大学)

指定討論者
 松村一志(大阪大学)

司会
 中西啓喜(桃山学院大学)

10.公開シンポジウム

東アジアとグローバル教育ガバナンス

企画趣旨
 

 近年、教育政策をめぐる国際的な議論は、OECDやユネスコに代表される国際機関の主導にとどまらず、アジア諸国を含む多様なアクターが相互に影響し合うことで、多極的で重層的なガバナンス構造を呈している。東アジアでは、中国・韓国の存在感が着実に増し、たとえば韓国が推進するグローバル・シティズンシップ教育(GCED)は、複数の国・地域のカリキュラムや政策議論に具体的な変化を促してきた。他方、日本はESD(持続可能な開発のための教育)を先導してきた歴史を有するものの、近年は相対的な発信力の低下が指摘される。加えて、国際秩序の不安定化や地政学的緊張の高まりは、教育協力のあり方やガバナンスの設計に直接的な制約と再編圧力を与えている。
 本シンポジウムは、このような「グローバル教育ガバナンス」の変容を踏まえ、東アジアの位置づけと日本が果たし得る役割を多面的に検討する。具体的には、①グローバル教育ガバナンスの理論枠組みと国際動向、②ユネスコ等の国際機関および中国・韓国の政策の影響力、③日本型教育の国際発信と今後の方向性を射程に収め、3名の報告者に報告いただく。また、それらの報告を受けたうえで、韓国の平生(社会)教育がグローバル・レベルで果たす役割と影響を通じて社会教育・生涯学習の観点から政策拡散と受容過程を検討し、さらに、例えばレッスンスタディ(授業研究)等の世界展開を手がかりに、学校現場由来の実践知がどのように国際的に移植・再文脈化され、日本発の影響がいかなる形で評価・再構成されているのかといった教育方法学の観点からのコメントをいただく。これら二つのコメンタリーの視角を、各報告と接続させ、さらにはユネスコチェアによる論点整理を通じて、外部アクターと国内実践を結ぶ支配—合意—適応の力学を具体的に描き出し、東アジア文脈に基づく新たな教育スタンダードの可能性と、日本の戦略的関与の方向性を展望するための知的基盤の共有を目指す。

報告者
橋本憲幸(山梨県立大学)
望月要子(香港教育大学)
高山敬太(オーストラリア・アデレード大学)※オンライン

コメンテーター
梁炳贊(ヤン・ビョンチャン)(韓国・公州大学校師範大学)
柴田好章(名古屋大学)

論点整理
Edward Vickers(九州大学・ユネスコチェア)※オンライン

司会・モデレーター
花井渉(九州大学)
陳思聡(九州大学)

企画者
花井渉・陳思聡・岡幸江・Edward Vickers(九州大学)

11.若手交流会

アーリーキャリア期の不安と期待―2040年の大学を見据えて―(仮)

大会3日目8月25日(火)の16:15~18:15に対面およびオンライン(Zoom)のハイフレックス形式で開催する。

企画趣旨
 国立・私立での勤務経験がある大学教員2名の話題提供をもとに、アーリーキャリア期にあたる研究職着任前後の不安や期待、目指すべき方向等について、参加者間で意見交流する。大学進学者数の激減が見込まれる”2040年問題”も見据え、大学の未来を考える場としたい。

12.保育・託児

 昨年の大会と同様、大会2日目または3日目に開催される課題研究、シンポジウム、若手交流会において、司会、登壇者、指定討論者、話題提供者として現地で参加される方につきましては、当該企画に参加するための託児サービス(自宅でヘルパーを依頼する場合も含む。)を利用した際の費用の半額(1日あたり上限5,000円)を、実行委員会で負担させていただきます。また、現地では託児場所は用意しておりませんが、授乳等に必要なスペースはご用意可能です。いずれも、ご利用を希望される方は、7月29日(水)までに実行委員会にご連絡ください。

13.その他

 大会参加費は、https://jera-taikai.jp/に記載予定の大会ホームページから「参加申込」画面へと進んでいただき、前もってカードでお支払いください。当日の現金での支払いはできません。
 また、第85回大会では、懇親会の開催予定はございません。会場最寄りのJR「九産大前駅」からJR「博多駅」までは15分程度となっておりますので、お食事につきましてはそれぞれでお楽しみください。大会運営に関し、ご意見ご要望などがございましたら、大会実行委員会までご連絡いただけると幸いです。みなさまのご参加を心よりお待ち申し上げます。

14.大会校からのお知らせとお願い

(1)学会大会運営にあたっての大会校からのお願い

 日本教育学会第85回大会は九州大学と九州産業大学の共催で開催し、九州大学・九州産業大学に勤務する学会員、そして後援をいただいている九州教育学会の会員、さらに両大学の学生スタッフにて、準備・運営を行います。
 電子的なシステム基盤の構築・運営は株式会社ガリレオの学会業務情報化サービスを中心とする専門の企業に依頼しているものの、限られた学会の予算を有効に活用するため、そうした企業との連絡等や各種事前準備、当日の運営にあたる学会員、九州教育学会の会員は、みな手弁当で、そして学生スタッフはわずかな謝金で、準備・運営にあたっております。 当日、そして事前のやり取りにおいては、会員のみなさまに行き届いたサービスを提供できない部分もあるかもしれませんが、限られた人的リソースにて全力で準備を進めておりますので、どうかご理解をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

(2)対面形式での自由研究発表部会開設のお知らせ

日本教育学会では新型コロナウイルス感染症の流行以来、自由研究発表やラウンドテーブルをオンライン形式にて開催してきました。こうした方式は感染症予防のみならず、仕事や家族の事情等により物理的な移動が困難な会員に発表・参加の機会を拡大することにも寄与し、新型コロナウイルス感染症の影響がかなり収まってきた現在も、一定の意義を持つものだと思われます。

しかしながら、対面形式での研究発表とその後のディスカッションが、各発表者(とりわけ研究者としてのキャリアの浅い方)にとって大きな意義を持つことも事実であり、昨年の総会においても同様の指摘がなされました。そのことから、今大会では学会理事会からの依頼に鑑み、対面形式での自由研究発表部会を試行的に設けたいと考えております。

開催日時と形式は、8月24日(月)・25日(火)の二日間、課題研究Ⅰ~Ⅲと並行する形で1部会ずつ合計3部会を開設するかたちとさせていただきます。

部会数の少なさについては様々なご意見があるかもしれませんが、例年の日程を大きく変えることは参加者側にとっても大会校側にとっても負担が大きいこと、オンライン形式が持つメリットに鑑みた際、対面形式での部会にどれほどのニーズがあるかわからないこと、そして限られた大会校スタッフにより多くの部会数を運営することは困難なこと、課題研究と同時に複数の部会を設けると、課題研究と部会とで参加者の人数が割れてしまう可能性があることなどから、まずは以上の部会数で試行的に行わせていただきます。

なお、申し込みにあたっては、①「オンライン形式での発表を希望」、②「オンライン形式での発表を希望するが、対面形式でも可能」、③「対面形式での発表を希望するが、対面形式が難しい場合にはオンライン形式でも可能」、④「対面形式を希望し、対面形式が難しい場合には発表を辞退する」、という4つの選択肢を設け、ご希望を確認したいと考えております。

その上で本企画は、とりわけ研究者としてのキャリアの浅い方にとって、対面形式での発表とその後のディスカッションの意義が大きいことを重視し、対面形式での自由研究発表部会の参加者決定の際、大学院生の方を優先した上、希望者が3部会分の時間的上限(すべて個人発表だとすれば15名分)を超えた場合には抽選にて対面形式での部会発表者を決定いたします。

また、以前の対面形式での開催時と同様、発表申し込みにあたっては発表日時のご希望は受け付けいたしません。100名以上に及ぶ発表申し込みが予想される中で部会編成を行わなくてはならない都合上、どうぞご了承ください。(オンライン形式での発表の場合には8月22日(土)、対面形式での発表の場合には8月24日(月)または25日(火)のどちらかとなります。)

すべてのみなさまのご希望には沿えないこと、誠に申し訳ありませんが、まずは試行として行うものですので、どうぞご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。

(3)ラウンドテーブルにおいて特別な要望がある場合の申込者側でのZoom開設のお願い

今大会においても例年同様、8月22日(土)の午後に(16時~18時を予定)オンライン形式でラウンドテーブルの開催を予定しております。
ただし、過去の事例においては、大会校側ではZoomの設定が自由にできない一方、ラウンドテーブルの申し込み者からは当日になって録画の希望などが寄せられ、十分に対応ができないことがあったと聞いています。しかし、大会校側で用意する各Zoomの設定はそれ以前の自由研究発表のための設定を引き継ぐものでもあり、さらにZoomのホスト権限も、すでに契約をしている学会員または九州教育学会会員が自らのZoom権限を用いて立ち上げている場合や、株式会社ガリレオを介してスポット契約をし、事前に細部の設定が行われている場合など、様々です。
そのため、最低限のラウンドテーブルの場を提供するというシンプルなZoomミーティングルームの開設(自由研究発表と同様の設定での開設)以上の対応を希望される場合には、事前に申し込み者の側でZoomのミーティングを設定・開設していただきたく存じます。(申し込み者の側で設定・開設した場合、当日はそのURLを他の部屋と並べて記載するようにさせていただきます。)
ご自身で開設をされない場合には最低限のラウンドテーブルの場を提供する以上のサービスは提供できないこと、そしてご自身で開設をされた場合には(当然ながら)通常の参加者がそのラウンドテーブルのミーティングルームに入室してくる可能性があることを、それぞれご理解ください。